先日キウイを収穫した件を投稿しました。
キウイは収穫しても追熟させないと食べられません。
そこで収穫直後に少し追熟を行い、ここで美味しく食べられるようになりました。
今年のキウイは上出来です。
さてキウイの追熟方法は色々あるようですが、専門的には密閉出来る専用の部屋や容器にエチレンガスを吹き込んで大量処理を行なっている様です。
しかしそんな設備の無い一般家庭での処理の方法は、リンゴ等のエチレンを発生する果実をビニール袋に一緒に入れて追熟させます。
我が家も3年前まではリンゴを使って、全てこの方法で追熟させていました。
しかし3年前に専用の追熟剤(エチレンガス剤)が市販されているのを知り、NET購入して試してみました。
これがこれまでになく美味しく出来上がりました。
リンゴで追熟処理したキウイも一応美味しく食べられるのですが、どうしてもリンゴ臭い香りと味がありエチレン処理品とは雲泥の差がありました。
この為以降は追熟剤で実施しています。(・・・リンゴも高価なので、値段的には同等です)
今年の最初の追熟処理は昨年の残りの追熟剤が少しあったので、これを使って行いました。
これが問題無く美味しく処理できたので、この追熟剤は1年間くらいの保管では問題無いようです。
ところが追熟剤の残りが無くなったので注文しようとしたのですが、在庫がありません。
しかも再入荷見込みもありません。
<追熟剤のNET販売画面> 今年は過去最大の収穫量なので、何時になるか分からない再入荷を待っていたのでは年内には食べられませんし、常温保管して置くと腐りも出てしまいます。
リンゴでの追熟も出来ない事は無いのですが、エチレン処理したキウイを一度でも食べると、もう昔の様なリンゴ処理には戻れません。
今年は多分20回程追熟処理が必要となる見込みなので、そこでNETの別ルートで”追熟剤”を探していました。
色々捜していた処、この追熟剤が入手できない原因が分かりました。
”原料資材(封止材)の入手不可”でした。
多分使っている封止材はガスを密閉する特殊な物だと思われるので、輸入材か、または国内製造でも輸入原料によるものか、とにかく原料が無い事にはどうしようもありません。(コロナによる物流の影響がこんな処にも・・・凄いことです!)
12月に入ってから製造を再開しているようですが、生産農家向けが優先されるはずなので、市場に出てくるのは当分向こうだと思います。
<製造元のHPの書き込み> その後”エチレンガス”を使う方法の書き込みを見つけました。
しかしこのガス(ボンベ)は専業農家向けなのか、非常に高価です。(¥10,000/本以上)
こうなると探しても無駄なので、自作する事に方針転換です。
エチレンガスを発生させる方法の書き込みがありました。
しかしこれは”濃硫酸”や”金属ナトリウム”を使って作る方法で、購入も困難ですし、そもそも危険なので使えません。(・・・これが高校の教科書に載っている一般的な方法だそうです)
そこで更に時間を掛けて捜していたところ、ありました。
<エチレンガス生成実験1: 加熱は必要ですが危険な薬品を使わないので安全です> ”エタノール”を”ゼオライト”を触媒として使って分解させることで、”エチレンガス”が発生する様です。
ゼオライトにも種類が複数あるようですが、どんなゼオライトでも出来るようです。
それなら以前購入したゼオライトがあるハズです。
早速ガレージを捜索するとありました。
<エチレンガス生成材料: ①エチルアルコール、②ゼオライト、③パーライト>
① エチルアルコール: ”自ビール”作りで殺菌用に使用している物
② ゼオライト: 10年前に生ゴミ処理用に秋田県産をNET購入したもので、15kgもありました
③パーライト: エチルアルコールを試験管内で吸着固定する・・・本来はロックウールを使う様なのですが代替品
エチレン生成に使う原材料は全て揃いました。
これはもう自作するしかありません!!
<自作の”エチレンガス発生装置”: ほとんど百均で購入したもので構成>
① 試験管: 何故か1本だけありました(百均でも購入可能だそうです)
② 試験管ホルダー: SUS製の洗濯ばさみを改造 (百均)
③ シリコンチューブ: 水槽用エアーチューブ(百均)
④ ガス収集容器: エゴマ油の空容器(100cc)
⑤ アルコールランプ: 無いので代用品として”ターボライター”使用(百均)
エチレンガスは爆発性があるそうで、家の中で生成するのは危険と考え、ビニール張の風防室で換気しつつ慎重に行いました。
しかし最初の試験は失敗でした。
加熱方法が良く分からなかったので、途中で加熱を止めたら、試験管に水が逆流してあえなく失敗。
再度のチャレンジの為にNET検索していた結果、より分かり易い書き込みがありました。
<エチレンガス生成実験2><実験2: 試験管に代えて銅パイプで自作しました>
前回の熱源のガスバーナーは火力が強すぎたようなので、今回は”固形燃料(百均)”に変更しました。
これで少量ですがガスを収集出来ました。
<捕集出来たエチレンガス・・・??> しかし収集した気体が本当にエチレンかどうかわかりません。
調べる為の試薬があるそうです。
”臭素水”です。(・・・エチレンガスなら脱色されるそうです)
しかしそんな試薬の入手は出来ないので、エチレンであることを信じて実際に使って確認します。(実践あるのみ)
そこで”自作エチレンガス?”でキウイの追熟処理を行いました。
<追熟実験: (左)ポリ袋を密閉後、中で瓶の蓋を開けてガスを放出、(右)同時にバナナ追熟品も作製> その結果です。
自作したエチレンガスも一応追熟促進剤として効果がある事が分かりました。
市販の追熟剤はキウイ30個に対して1袋を投入すると、1週間~10日間で柔らかくなり食べられるようになります。
これに対して自作エチレンガスは14日間と期間は長くなりましたが、少し(?)柔らかくなり食べられました。
ですから、自作エチレンガスも立派に”エチレンガス”が発生していたという事が確かめられました。(・・・十分とは言えないですが)
さて自作エチレンガスを使った追熟用の1袋を作った時、同時に”バナナ”を1本入れた袋も比較の為一緒に作ってありました。
ところがこのバナナ追熟の方は、10日間で追熟が完了しました。
市販のエチレンガス追熟剤とほぼ同じ効果です。
これまでバナナを使った追熟は行った事がありませんでしたが、食べてみたところ、こちらも美味しく頂けました。
リンゴの時の様な変な匂い(バナナ臭)も無く、これならキウイの追熟はリンゴよりバナナの方が優秀です。
と言う事で苦労して造った”自作エチレンガス”でしたが、軍配は”バナナ”の方に上がりました。
費用的にもバナナ1本なら、リンゴの1/4程度の価格なので、手間を考えると自作エチレンガスより楽です。
以上から最終結論として、これからはバナナを使って追熟する事になりました。
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追)ところがブログ投稿前に改めて市販の追熟剤をNETで確認したら、今は入手可能となっていました。(・・・何時から?)
今年は全て『バナナ追熟』と決めていましたが、やはり実績のある”追熟剤”購入に気持ちは傾きつつあります・・・??
2021.12.25
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